July 15, 2016

ディスタンスブレーキ

ディスタンスブレーキは、事故者の他に、2名以上のメンバーがおり、救助に当たれる場合に使います。

救助者はローワーダウンで降りて、事故者を取り込み、その後、コントローラから、さらに下降、もしくは、引き上げてもらいます。

1)ディスタンスブレーキをセットする

2)救助者下降

3)事故者の取り込み

■ 写真
作成中

介助懸垂

■ 介助懸垂

介助懸垂は、事故者が腕などをけがしており、足は動ける場合に使います。

1本のロープに二人がぶら下がり、救助者が補助しながら、ラッペルします。振り分けにPASがあると便利です。

1) 振り分けをセットする (バックアップ)

2) 制動力を増すセットを作る

3) 下降

カラビナはバックアップです

ラッペル中のザイル通過

作成中

ミュールノット

仮固定する際の定番は、ミュールノット。

用途

1)ビレイヤーの自己脱出時の仮固定

2)ムンターで、セカンド確保中の仮固定

3)懸垂下降中の仮固定

写真は後程。

ちなみにミュールノットではなくても、ぐるぐる巻きにするなどして、一時的に止まれば、何でも良い。

スリング使用で知っておくべきこと

■ 一般知識

一般に、同じ材質であれば、径が2倍になれば、強度は3乗となる。

例: 同素材 4mmの直径での強度が350kgとすると
         6mmならば、800kg
         10mmならば、2200kg

平べったいスリングの場合はねじって径を出す。

■スリングの強度

ほどんどのスリングが、22knである。

気を付けなくてはならないのは、デイジーチェーンのポケットは強度が、3kNしかないということである。

■ 材質ごとの性質

ナイロンソウンスリング: 22kN 劣化が早い。濡れに弱い。

ダイニーマ: 細くて強度がある。テグスと同じで、ノットが切れやすい。ノットで半分以上も強度が低下する。熱に弱い。吸水性がない。
 
デイジーチェーン: もともとアブミの調節用である。
 
ケブラー:防弾チョッキにも使われ、強度が強い。塩素・紫外線に弱い。

■ 結束時の強度低下

ダイニーマを使う場合、結束すると強度が下がる点に注意が必要である。

多くの人がもっているマムートのダイニーマスリングは、取説には、以下のようにある。

            ポリアミド(ナイロン)   / ダイニーマ
  
ノット結束なし     22kN          /  22kN  

エイトノット       -39% 13kN    / -48% 11kN

クローブヒッチ     -25%  16.5kN  / -35% 13kN

対面ガースヒッチ   -45% 12kN    / -53% 10kN

オーバーハンドノット -59% 15kN    /  -48% 11kN
ノットが動ける場合  -47% 13.8kN  / -54%   10kN   

※ポリアミド16㎜ ダイニーマ8mm

■スリングの ”衝撃吸収能力” の順番

衝撃吸収能力 大
 ↑
 
 ①ロープ 
 ②ナイロン 結び目あり  結び目がショックアブゾーバーになる
 ③ナイロン 結び目なし  
 ④ダイニーマ 結び目なし
 ③ダイニーマ 結び目あり 結び目に衝撃が集中する
 
 ↓
 小

ダイニーマは軽くて強い素材ですが、動荷重がかかる用途には向かない。
http://www.f5.dion.ne.jp/~mitsu_g/report127.htm  ダイニーマ製スリングの弱点を知ろう!から引用)

■ ダイニーマスリング使用時の注意点

・ダイニーマは伸びがないので、衝撃荷重はすべてクライマーやビレイ点に集中する

・ナイロン製スリングは結び目があると衝撃吸収力が増すが、落下係数2には耐えられない。

・ダイニーマは落下係数1でも結び目があると破断する

・ダイニーマは衝撃を伝えるので、ハーケンやボルトのハンガーに直接結んではいけない。

・衝撃荷重の大きさは落下距離による。


★ダイニーマスリングの特徴を生かす

特徴       使用法
 ・軽い      → ナイロンなら1本のところ、2本持てる
 ・細い      → かさばらず、ナイロンなら1本のところ、2本持てる
 ・吸水性がない → 雪上、沢に向く 
 ・熱に弱い    → プルージックに向かない
 ・伸びない    → 静荷重しか掛けてはいけない


■ セルフビレイのスリングに何を使うべきか?

現在はPASが販売されているので、デイジーチェーンを敢えて使う必要はない。 理由は以下の画像を見る方が良いだろう。





PASを使わない場合、ナイロンのスリングでも、ノットがショックアブゾーバーになる。

繰り返しになるが、ダイニーマでやった場合は、ノットがあれば、半分程度の強度低下となる。

■ 参考

http://guide-column.hatenablog.com/entry/post_486

July 14, 2016

ムンター


■ ムンターの特徴

・ロープの径を選ばず、確実な制動が得られる

・キンクする

・キンクを送り出すコツをマスターする必要がある

・ベントゲートを使ってはならない(後述)

・HMS型カラビナを使う

・制動を双方向に掛けることができる
 (ローワーダウン、ライジング)


■ ゲートがオープンする事故報告がある

ムンターで注意すべきは、ゲート側に制動手がわのロープが来ないことである。

ゲートがオープンし、懸垂下降中に滑り落ちる事故例が過去に報告されている。

(出典 『生と死の分岐点』)

■ 作り方

以下の作り方以外にも、冬手袋をはめて作れること。




このように、制動側がゲートと反対側に来なくてはならない。

シープシャンク

July 13, 2016

ザイル担架の編み方

■ ザイル担架の編み方

1)10mほど末端を残す
2)オーバーハンドノットで一段目を編む。(ノット数は体格に合わせ、3~4つ)
3)網目を3~4段編む
4)3~4段ごとに、クリップ(固定するためオーバーハンドノット)する。
5)最後に体重が均等に分散されるように、足、腰、肩、頭の4点で、吊り下げシステムを作る

・ヒト一人分のザイル担架に必要な長さは、約40m
・5分程度で編めることを目指す
・ロープバスケットとも言う


裏面





クライミングロープの選び方

■ 衝撃吸収能による分類: スタティックロープ とダイナミックロープ

スタティック=伸びない=補助ロープ用
ダイナミック=伸びる =クライミング用

スタティックをリードのクライミングに使用してはいけない





■ 用途による分類: 

①シングル 
 ・一本で使う
 ・スポーツクライミング/フリークライミング
 ・もっとも一般的
 ・径は9.0mm~10.0mm  ※現在最も一般的なシングルは、9㎜代後半

②ダブル(ハーフ)
 ・二本束ねて使う
 ・支点が分散する。
 ・アルパインクライミング/沢
 ・ロープ操作が煩雑になる
 ・径は8.0~9.0mm      ※現在最も一般的なダブルは8ミリ代半ば

③ツイン
 ・2本を1本として使う使い方
 ・アイスクライミング
 ・ダブルより軽量
 ・下降に有利
 ・径は7.4mm ~ 8mm (細い) ※支点にかかる衝撃が大きい


■ 用途にあったロープ長さ

人工壁などのスポーツクライミング → シングルロープ 30m コーティング無し
フリークライミング(外岩) → シングルロープ 50mまたは60m
アルパインクライミング → ダブル 50mまたは60m


■ アルパインクライミング

アルパインクライミングでは、ルートの屈曲に対応するため、ダブルロープで登ります。したがって、ダブルを購入する場合は、ザイルパートナーと

 色違いであること
 同じ径
 同じ長さ

になるように購入します。

 ・ロープ長が違っても短いほうに合わせた距離しか登れません。
 ・また、径が違うと、2本を連結するときの結束に注意が必要になります。 

アルパインを目指す人は、50m(もしくは60m)のダブル1本は最低所有しているのが普通です。最近は60mを所有している人も増えてきているそうです。

■性能

・衝撃荷重 : 値が小さいものほど衝撃の吸収力に優れている=よく伸びる → リード向き
・伸び率: トップロープでの使用が多い場合は、この値が低いロープの方が扱いやすい
・外皮の厚さ: 厚いほうが耐久性が高い。通常は40%
・外皮のズレ: ラッペルがある場合は、シースのずれがゼロのもの。
・コーティング: 外岩で使用する場合は重要。
・しなやかさ: しなやかなほど操作性が高い。

(『クライミング用具大全』より抜粋要約)

■補助ロープとは?
 
・8㎜以下の細い径のもの。
・リードでは使わない。傾斜のないところで、フィックス、お助け紐など、万が一に備えて使うもの
・捨て縄を作る

■ 新しいロープには新しいビレイデバイスを

新しいロープはより細く高性能=古いビレイデバイスとは合わない

■ 参考

http://column.kojitusanso.jp/ksguide/2010/08/post-20.html
http://www.youtube.com/watch?v=-bTbJczTYSE




July 11, 2016

カラビナ使用時の注意点


■ メジャーアクシスで使う

カラビナの使い方の基本は、メジャーアクシスで使うことです。

カラビナは、基本的にねじれの力に弱く、破断の可能性があるため、3方向荷重になる場合は、スリングを使います。

 メジャーアクシス = 安全 強度は22kN

 マイナーアクシス = 危険 強度は7kNしかない

 オーブンゲート状態 = 危険 環付ビナを使う

 3方向荷重      = 危険 破断の恐れあり スリングを使う

 てこの原理      = 危険 破断の可能性あり、岩角などに当たる場合は、スリングで伸ばす

また環付ビナは岩にあたる方にゲートが来ないように、ゲートが上向きになるように使います。

通常、ナローゲートを持ち、クリップした一回転させ、メジャーアクシスに並べます。


■ まとめ

 ・カラビナの持ち方 ナローゲート 一回転
 
 ・ねじれの力を避ける

 ・つねにメジャーアクシスで使う

 ・安全環【ゲート)はつねに空中側





落下係数



イカにタコノット

■ レスキューで使うアンカー(支点)について

レスキューでは、1本のロープに、2人あるいはそれ以上の荷重がかかるため、アンカーはより強固なものが求められます。

流動分散を作り、それを固定した、通常”イカにタコ”が、アンカーの基本になります。

固定することで、1点が抜けても、他の支点に強い衝撃がかかりにくくなります。

1)3点で流動分散を作る

2)別のスリングで、作った流動分散にガースヒッチ

3)その後ぐるぐると、まとめて巻きつける

4)末端はカラビナを噛ませて固定しておく

後程写真を掲載予定。

■ アンカー構築時の注意点

角度が重要です。60度以下になるようにします。


ガルダ―ヒッチ

■ ガルダ―ヒッチ

ガルダ―ヒッチの用途は、ホーリング(荷揚げ)です。その他、セカンドのライジングにも使えます。

ガルダ―ヒッチの他、

 ・ビエンテ
 ・ロレンツェ

が知られていますが、全種類を覚える必要はなく、どれか一つが確実に使えることが大切です。

ガルダ―ヒッチには、

 同形のD型ビナ 2枚

が必要です。


コックヒッチによるプルージック登攀

■ プルージック登攀

プルージック登攀は複数人のパーティを効率よく、確保して登らせる時に使う。

 ・スリングを使う

 ・タイプロックを使う

などの複数のやり方があり、それぞれ長短ある。

スリング → ロープとの相性がある
         自動では追従しないため
         片手を開けないといけない

タイブロック → ロープが痛む 衝撃荷重で、場合によっては止まらない。


■ コックヒッチ

コックヒッチは、これらの欠点を解消するシステムだ。

・登攀に自動追従する

・墜落では良く閉まる

コックヒッチを、要するにタイプロックと同じことがスリングとカラビナで実現できる。






■ Nakataシステム

これは、フリクションノットを手を使用せず、緩めることができる。

別の細引きなどのロープで、手の代わりに、フリクションノットの上下移動用の引き紐を作ってやる。

写真では赤のロープがその役目となっている。

こちらに資料あり

ローワーダウン時のザイル通過

■ 墜落が起こったら・・・

墜落が起こった場合、最寄りのテラスなどに、ローワーダウンもしくは引き上げすることになる。

ローワーダウンであれば、普通に普段クライミングしている場合と変わりがない。降ろした後は、ビレイヤーは自己脱出し、負傷者の元へ駆けつけることになる。

問題は引き上げが必要な場合だ。

体重70kgの人をごぼうで引き上げると、70kgの腕力が必要になる。これは屈強な男性でも難しい。

したがって引き上げシステムをまずは作るところが必要になる。(これは後述)

■ 摩擦力を増やす

引き上げは、定番ムンターを使うが、そのままでは摩擦が少なく、手を離したらすぐにも落ちてしまう。

ムンター(半マスト)の摩擦を増やすには、ターンを増やす。



■ ザイル通過

正確にはザイルのコブの通過なのだが・・・なぜか、”ザイル通過”と呼ぶ。

ザイル通過は、

  ザイルの結び目が、ムンターをどう通るか?

ということだ。

■ コブの種類

コブ、つまり、2本のザイルの連結ノットは、

 1)オーバーハンドノット 2個 (距離を離す)

2)シングルのフィッシャーマンズノット (ノットの距離を1m以上離す)

の2通りのやり方がある。後者は発案者の名を取って青木方式と呼ばれているそうである。

シングルのフィッシャーマンズノット
シングルのフィッシャーマンズノットは、対面のオーバーハンドノットと同じことである。

搬送時に牽引するためのイコライゼーション(変形エイトベント)

ボートノットと呼んでいるが、要救助者が乗ったボートをけん引するためのノットである。

名称は正式な者かどうかは不明。

岐阜の山岳警備隊ではこの結びだそうだ。

≪作り方≫

1) バイトのエイトノットを作る

2) 末端をエイトノットから、一輪だけ引き抜く

3)その抜いたほうに、オーバーハンドノットを作り、末端処理する。
 (写真は末端処理がされていない)

4)環付ビナをかけ、要救助者の肩あたりと結び、イコライゼーションを作る。

※ イコライゼーション=流動分散

変形エイトベントと言うノット名で載っている。

別の結びで、イコーリングエイトノットも、『セルフレスキュー』(渡辺輝男)に記載されている。

担架の種類

■ぬんちゃく担架




ザイル担架

■ 牽引用のノット ボートノット


タイブロック使用上の注意点

■ 使用に注意が必要なタイブロック

タイブロックは便利な道具だが、使用法には注意が必要だ。

以前ロープワーク講習会で指導側に立っていた先輩も、ロープを反対側に引いてしまい、ロープの表皮にダメージを与えてしまっていた。

基本的にギザギザがある道具は、衝撃荷重がかかるような用途には、できれば使わない方が望ましい。ストッパーとして使う場合は、動かさない用途であれば、スリングの方が望ましい。

タイブロックの使用には、大きく

 1) 簡易的なプルージック登攀  緩傾斜でのクライミング時に自動的に追従する

 2) ホーリングでのストッパー 引き上げ時に、後戻りをストップするストッパーの役割 

 3) 引き上げシステムでのストッパー 

の3用途がある。

■ NG使用法

 このセットは、取説にはOKとあるが、使用しない方が好ましいそうだ。

取説の左側のほうのセットを基本とする。

■ ホーリングのストッパーとしての使用

必ず、このセットで使う。

上下を反転してはいけない。

こちらのほうは取説にもある。

ストッパーノット

ホーリングでのストッパーは、タイブロックを使用しなくても、実現できる。

その場合、ストッパーノットが移動してしまうのが難点であり、移動してしまうとストッパーとして機能しなくなる。

このセットはストッパーが移動しないセット方法。

 スリングを片側に一回巻いた後、束ねて巻き、ギリギリ届くか届かないかの長さで、元のカラビナに掛ける。

このストッパーノットの優れた点は、

径がそれほど違わない場合も使用できること。

プルージックコードは太いため、あまり出番がないが、この用途には大いに使える。

クランベル

■ クランベルヒッチ

岩角や立木に、メインロープだけで、アンカーを作りたいことは多い。

その場合に、簡単に作れるメインロープの支点として、紹介。

しかし、この結びはGoogle先生に聞くと、この名前でこの結びが紹介されているものがなく、ちょっと不安である。



この結びのカラビナを掛ける場所を間違うと、容易にほどけてしまうため、支点として用をなさない。



この記事は後で、この結びの作り方を詳説する予定。

チロリアンブリッジ

■ チロリアンブリッジ


・5分の一システムで張り込む。

・チロリアンは、関東では斜張りと呼ばれている。

・チロリアンは必ず、2本のロープにぶら下がること

・要救助者の吊り下げは、カラビナ2枚+スリング2本+カラビナとする。スリングを噛ませないと三方向に引かれる場合カラビナの破断が起こる可能性がある。(カラビナはねじりの力に弱いため)


 固定は、シープシャンク
 仮固定は、立木であれば、ロープの摩擦を使っても良い。
 吊り下げ。環付ビナがベター。

3方向に引かれる用途には、かならずスリングで連結。

カラビナはねじりの方向にかかる力に弱い。

冗長性の法則。カラビナを2枚づつ使う。

カウンターウェイト

作成中

振り分け救助

■振り分け救助

振り分け救助や介助懸垂は、一本のロープに

要救助者と救助者の2名

がぶらさがります。

振り分け救助の場合は、相手を背負います。

ライジング

作成中

ラッペリング

■基本のセット

バックアップつき + エクステンションつき




















■ 1本のザイルで懸垂下降するためのフリクション増加方法

フリクションを増加することをブレーキング増加という人もいる。制動力を増さないといけない。

例1)



ワンターンを入れる

例2)

作成中


振り分け救助

■介助懸垂

これは介助懸垂のセットの途中です。

私が要救助者役で、左端のデイジーチェーンにぶら下がっている、ということになります。

介助懸垂は、一本のロープに

要救助者と救助者の2名がぶらさがります。

リードクライマーのレスキュー

作成中

セカンドクライマーのレスキュー

作成中

支点の作成

作成中

岩場での事故に備える

クローブヒッチ

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