セルフレスキューにおいては、技術の評価基準が存在しませんでした。そのため、学ぶ人にとっても、教える側にとっても
・意欲がわきづらく、
・何がどこまでできたら、OKなのか?が分かりづらい
という問題点がありました。
・山行形態 (ハイキングなのか?アルパインなのか?沢なのか?雪なのか?)
・季節 (無雪期か雪があるのか?厳冬期なのか?春山なのか?)
・メンバー構成 (男性・女性、高齢者、初心者、体力、登攀力、知力の差など)
などによって、 山行リスクの度合いが異なり、それらに応じたセルフレスキューの基準を一般的なものとして定めるには、複雑すぎるという点に評価基準を設ける困難がありました。
■ 複雑化を避ける
山行目的は、セルフレスキューではなく、あくまで山そのもの、です。
セルフレスキュー技術は、山行を成立させるための技術や体力など、その他の能力を前提としていることは、言うまでもありません。つまり、レスキュー技術は、それ以前の登山技術を前提にしています。
そのため、レスキュー技術を、闇雲に複雑化せず、その登山者の山行のレベルに見合ったものを身につけることが大事です。
登山者としての、心・技・体・知・経、つまり全人的成長がもっとも重要だという点を踏まえたうえで、以下のチェックリストを、習熟度の計測の目安として、利用していただけたら、幸甚です。
複雑化を回避するため、評価も3段階としています。
≪到達度 凡例≫
1: 結べない 知らない
2: 確実に素早く結べる
3: 強度、特性、適切な使用などの応用ポイントを注意事項が理解できる
1の場合は、訓練には安全対策上から参加を見合わせてもらう場合がある。(例: クローブヒッチができないため、セルフビレイが取れない)
■ チェックリスト 特に重要なノットは太字
タイイン
| オーバーハンドノット | 1 | 2 | 3 |
| エイトノット | |||
| 対面のエイト | |||
| バイトのエイトノット | |||
| インライン・フィギュアエイトノット | |||
| ブーリン | |||
| シープシャンク | |||
| クローブヒッチ |
ビレイ等
| 1 | 2 | 3 | |
| ムンターヒッチ | |||
| ガルダ―ヒッチ | |||
| クローブヒッチ | |||
| ガースヒッチ | |||
| ステイン | |||
| ボート結び | |||
| クランベル |
ロープ同士の連結
| ダブルシートベント | 1 | 2 | 3 |
| ダブルオーバーハンドノット | |||
| ダブルフィッシャ―マンズノット | |||
| スクエアノット | |||
| 青木ノット | |||
| 丸めたエイトノット |
フリクションノット
| 1 | 2 | 3 | |
| プルージック | |||
| クレイムハイスト | |||
| マッシャー | |||
| カラビナバックマン | |||
| スネーク | |||
| ボロネ | |||
| ターバック | |||
| コックヒッチ |
固定、仮固定、その他
| 1 | 2 | 3 | |
| クローブヒッチ 両手 | |||
| クローブヒッチ 片手 | |||
| ムンター 両手 | |||
| ムンター 片手 | |||
| ムンター グローブで | |||
| ラビットノット | |||
| ミュールノット |
懸垂下降(ラッペル)
| 1 | 2 | 3 | |
| テンション時の懸垂下降 | |||
| 振り分け懸垂 | |||
| 介助懸垂 | |||
| カウンターラッペル | |||
| 担架による解除つき懸垂 | |||
引き上げ(ライジング)
| 1 | 2 | 3 | |
| 3分の1システム構築 | |||
| 5分の1システム構築 | |||
| ごぼう | |||
| ワンターンによるライジング | |||
| 簡易的な引き上げ | |||
| 重傷者の解除つき引き上げ |
搬送 (トランスポート)
| 1 | 2 | 3 | |
| ドラッグ法 | |||
| ファイヤーマンズ・キャリー | |||
| ザックとポールによる背負い搬送 | |||
| 吊り下げ法 | |||
| シューマンチェーン | |||
| ザイル担架 |
| クイックドローによる担架 | |||
| シート梱包 | |||
| パッケージ搬送 |
斜張り (チロリアンブリッジ)
| 1 | 2 | 3 | |
| セルフのチロリアン | |||
| 立木でのチロリアン | |||
| 沢でのチロリアン | |||
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